高音を出すためにはミックスボイスでの発声が必要不可欠です。
しかし、ミックスボイスについて正しく理解を出来ていますでしょうか?
昔、私もミックスボイスを出すことが出来ませんでした。
ミックスボイスの感覚やコツについて、本やネットで調べたり、ボイストレーニング教室に通って練習をしていましたね。
その甲斐あって、なんとかミックスボイスを習得することが出来ました。
ですが、ミックスボイスを実際に出せる様になるまでは、正直ミックスボイスについてよく分かっていませんでした。
というのも、ボイストレーナーや発声メソッドによっては出している声は同じでも、その説明の仕方や、練習方法も違っているんですね。
正直、どれが正しくて間違っているのか、という判断が全くつきませんでした。
自分でもミックスボイスを出せるようになってから、ミックスボイスについて理解が出来ました。
「あぁ、あの先生が言っていたことはこのことなんだな」とか、
「あのプロの歌手もこの感覚で出していたんだな」とか分かるようになりましたね。
「ミックスボイス」はただの言葉遊び

まずはじめに伝えたいことが、ミックスボイスという言葉に踊らされないことですね。
ネットではミックスボイスについての情報がたくさん溢れかえっています。
正しい情報もありますが、ただ言葉遊びをしているだけのサイトも実は多いです。
・ミックスボイスはミドルボイスを鼻にかけた声
・ミックスボイスはミドルボイスとヘッドボイスを足した声
・ミックスボイスはお腹から出した声
・ミックスボイスは吸って出した声
他にもいろいろな解釈・説明の仕方があると思いますが、全部を挙げていくときりがないのでこの辺で。
ミックスボイスは地声と裏声を混ぜた声じゃない

上記で挙げたミックスボイスの解釈の他に最も多い説明として、ミックスボイスは地声と裏声を混ぜた声や、地声と裏声を一緒に出すのがミックスボイス、説明されていたりしますよね。
これも確かに言っていることは間違ってはいないと思います。
ですが、ベストな説明の仕方ではないとは思います。
正しくは、「地声を出すときに使っている筋肉と裏声を出している筋肉を一緒に使って、地声と裏声の要素のある声」、それがミックスボイスだと私は感じています。
そもそも地声と裏声は混ざらない
地声と裏声は混ざることはないですし、一緒に出すなんてことも出来ないです。
ですが、「ミックスボイスは地声と裏声を混ぜる感覚だ」という人は多いです。
しかし、発声を突き詰めていくと、それは地声を出している時に使っている筋肉と裏声を出している時の筋肉を一緒に使っているということなのです。
それを分かりやすく言うと、地声と裏声を混ぜていると説明をしているのです。
なぜミックスボイスは声を混ぜるものと広まったのか
それはミックスボイスについて、簡単に説明がしやすいからです。
地声と裏声を混ぜるという言い方が一番イメージをしやすく、他人へ最も伝わりやすいからなんですよね。
「ミックスボイスは地声を出すときの筋肉と裏声を出すときの筋肉を使った声だよ」と一言に言われてもピンとこないはずです。
そこで地声と裏声を混ぜた声、ミックスした声がミックスボイスだと説明されると「あーなるほど!」となることが多いです。
混ぜるという言い方は間違っていますが、こちらの方が説明もしやすくイメージもつかみやすいんですよね。
ただ、この地声と裏声を混ぜるということに固執してしまって、逆に混乱してしまう人もいるのも事実です。
実は私がそうでした。
「ミックスボイス」という言葉に惑わされてしまい、中々ミックスボイスにたどり着きませんでした。
シンプルにミックスボイスは地声と裏声の筋肉を使うということ、それぞれを一緒に使えるようにすればいい、という事に気がついてからは迷いもなく、徐々に上達していきました。
ミックスボイスを出している時の感覚

私自身がミックスボイスを発声しているときの感覚をまとめてみました。
鼻や頭に響きを感じる(鼻腔共鳴)
ミックスボイスを出している時、特に中音から高音を出している時は鼻や頭に響きを感じます。
感じるというよりも、意図的に鼻や頭に響かせるようにしています。
実は、この響きがないとミックスボイスが崩れてしまうからです。
詳しくはこちらの記事で解説をしています。
声が裏声のように軽い
人と喋っている時の地声とミックスボイスで出している時の声の重さが全然違うんですよね。
地声は重くて低い声で出しているんですが、ミックスボイスとなると、喋り声の音域でも声が軽いんですよね。
裏声で喋っている様な感じです。
【ミックスボイスの基本】軽い声の出し方とポイント【声帯を薄く使う】
喉に必要以上に力が入っていない
もちろん、ある程度は喉に力は入りますが、喉をガチガチに固めてしまうレベル、つまり喉声の状態ではありません。
また、喉仏が最大限に上がっている状態でもありません。
腹式呼吸になっている
ミックスボイスを出している時は繊細なブレスコントロールも必要です。
それには腹式呼吸でないと対応が出来ません。
ちなみに、お腹には力はあまり入れていません。
お腹に力を入れてしまうと、胸や喉にも力が入ってしまい、喉声になる可能性が高いからです。
ミックスボイスを出すための流れ・手順

ミックスボイスを出すための手順を簡単に説明をするとこんな感じです。
1.軽い地声を作る:
【ミックスボイスの基本】軽い声の出し方とポイント【声帯を薄く使う】
2.強い裏声を作る:
3.軽い地声と強い裏声を繋げて、声を一本化する(換声点を消す、弱いミックスボイス習得):
4.一本化した声でひたすら音階練習、歌を歌って鍛える
大まかにこの4点を順番に達成していけば、ミックスボイスは誰でも出せるはずです。
ボイストレーナーや発声メソッドによっては、順番が違ったり、全く別の道筋だったりします。
ただ、私は上記の流れが自分に合っていましたし、納得出来て練習して、ミックスボイスを出せるようになりました。